アフリカ医療支援活動報告 後編
アフリカ医療支援活動報告、後編です。
鍼灸エリアで診察の順番を待つ人々。 みんなピッタリと隙間なく並んでいます。知らない人とはいえ、みんな仲良し? いえいえ、列に割り込まれないようにだそうです。 所変わればいろいろです。
年代別主訴の内訳
5日間通しての鍼灸患者さんは246名でした。年代別主訴の内訳は、腰痛・膝痛・背部痛の順に訴えが多く、各年代共通していましたが、頭痛・胸痛も多い印象でした。
日本とアフリカの違い
日本では肩・腰では、首筋から肩の上縁にかけての凝りなどを訴えることが多いのですが、ケニアでは首の後ろの骨が痛いと訴える方が多かったです。また、腰の痛みでは、日本では上下に痛みや張りを訴えますが、ケニアでは、ウエストラインに痛みを訴えていました。膝については、日本では膝の関節の変形による痛みが多いのですが、ケニアでは少なく、膝の上に痛みを感じていることが多かったです。
これらの痛みの違いは、異なる生活様式によるものだと思います。ここキシイ地方は高地ケニア山地で年1500mm以上の安定した降水量があります。その肥沃な土地で農耕をして暮らしているルオ族の女性の仕事は、主に家族で食べる食料の生産、薪などの燃料や水の調達から始まる炊事、洗濯、育児などです。頭の上に荷物を乗せて運んだり、畑を耕すときに腰を90度曲げて作業をすることが多く、腰で体を支えるために膝上へ負担がかかっていると考えられます。
患者さんとのコミュニケーション
鍼灸治療スペースで治療を受けている様子です。木のベンチ(椅子)をベット代わりにしますが、長細いベンチを2つ並べて紐で結んで固定しますので、ベットに乗る時に支えなければなりません。治療を受ける人と呼吸を合わせることが、コミュニケーションになっています。
3日目の朝、鍼灸治療スペースに来たら、現地通訳ボランティアが装飾してくれていました。驚きと感激、何とも心が癒されました。
限られたスペースでの施術ですが、日に日に施術を受けられる人々が多くなりベットだけでは足りず、椅子での施術を増やすなど工夫して対応しました。
マラリア感染による関節の痛みで鍼治療を受ける10才の女の子です。 おでこに手を当てると熱があることが分かります。
マラリアを疑う症状は、 突然の高熱(38℃以上) 、悪寒・頭痛・筋肉痛・吐き気・下痢などがあります。
約1ヶ月前に井戸に落ちて腕を骨折し後の痛みに対して鍼治療を受けている少女です。
低周波鍼通電療法
低周波鍼通電療法とは、鍼に微少電流を伝え筋肉に刺激する方法です。筋の緊張緩和、筋への血流を増やすという効果が上げられます。治療を行ってみた印象ですが、 患者さん達には何が起こっているかわからないようでした。刺激を心地よく感じられている場面もありました。 腰など、厚みがある筋肉に使うにはいいかもしれません。
小児鍼のレクチャー
小児科からのコンサルトによる1歳6か月の小児麻痺の女児です。
通訳を通して小児 鍼の使い方をレクチャーしています。
日本のお灸が、結核疾患の症状改善に役立つ
MOXAFRICAという団体が、南アフリカとウガンダで結核治療の補助的灸治療として、薬剤耐性結核疾患に対して、お灸によりQOLを向上させる活動を行っています。
アサンテナゴヤでも昨年、ヘルスワーカーを対象にお灸のワークショップを実施しています。報告により、HIV感染者のCD4の値が良くなってきたり、体調が改善しているという報告があるようです。 日本のお灸が、薬剤耐性結核疾患の症状改善に役立つことは素晴らしいことだと思います。
水たまり? いえ、これは・・・
写真の真ん中にあるくぼみに注目です。
これは実は水場。ゲムイースト村には水道はありません。よく見ると、水場の上の方に黒い紐のようなものが見えます。これは・・・黒い蛇が水に落ちて出られないでいます。
村人は、ここから水を汲み沈殿させて上澄みを煮沸して飲み水にしています。
施設内にあるトイレ。少し離れたところにあります。トイレといっても床に丸い穴が空いているだけです。
赤道直下のため、自分の影が真下になり自分では気づきません。
標高1800m。ここでの季節は大きく雨季と乾季に分かれていますが、涼しく雨が多いです。 乾期(12月から2月)を除きほぼ1年中雨が降ります。夕方に毎日スコールが1時間ぐらい続きます。
アフリカでの医療支援活動、無事に終了
ゲムイースト村での5日間の活動が無事終わりました。
アフリカ大陸の風を感じ、大自然を感じ、ルオ族の優しさを感じ、沈む夕日に思いを馳せて日本へ戻ります。
>>トップページへ戻る
>>アフリカ医療支援活動報告 前半を読む